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文トレ2 「向こう側の彼女」

今回のテーマ キャラ2名+『感情』
私の課題は 霊夢 紫 『悲しみ』
制限時間は40分でした




 わかってはいた、はずだった。
 わかっている、つもりだった。
 アレは、徹頭徹尾妖怪で。
 私は、紛れもない人間で。
 本来なら、私とアイツは殺しあうのが当たり前なのに。
 何の間違いか、師弟というか、腐れ縁というか……。
 
 親友と、云うか。
 
 そんな間柄になってしまった。
 それこそ、間違いだったのに。
 
 
 
 
 
 紫と私の出会いは、あの長い冬まで遡る。
 もともと黒幕ではなかったけど、あの亡霊から話が出たから殴りこみに行った。
 我ながら、血気盛んであったと思う。
 反省はしないが、後悔はしている。
 何せ、思い出すだけで顔が熱くなる程度には恥ずかしい。
 ともかく、結界の修理のために叩き起こしにいった……うん、叩き起こしにいったのが始まりだ。
 初対面というには、あまりに暴力的で最悪だろう。
 私は、少なくともそんな奴と友好的に接することはできない。
 生温い目で見つめることくらいしかできない。
 
 話を戻そう。
 出会ってからというもの、紫は何かと私に関わってきた。
 修行の世話を焼いたり、異変解決のために私の尻を叩いたり。
 用もないのに、神社に遊びに来たり。
 そして、取り留めのない会話をしてご飯を食べて。
 傍目には、妖怪に見えないほど人間臭い。
 優雅な素振りをしていたかと思えば、若い娘のように感情を露わにすることもあった。
 果たして、紫という妖怪の本質を理解できた者はいたのだろうか。
 私には、人間の感情を全てない交ぜにしたような、そんな風に思えた。
 少なくとも、平時は人間としか思えなかった。
 スキマは使っていただろうけど、どう見ても人間だった。
 
 
 
 
 
 それから数年、私がそれなりに力を付けてきた頃。
 博麗の巫女であることを差し置いてもいい勝負ができるようになってきた、そんな時期。
 なんとなく、彼女と肩を並べることができたと思っていた。
 どちらが上でもなく、下でもない。
 正しい意味での、友人になれた。
 よく話をした。
 笑った。
 あっちの家にも遊びに行ったりした。
 博麗の巫女として育った私にとって、そんな間柄になったのは初めてだった。
 魔理沙はどちらかといえばライバル? であったし、早苗は商売敵。
 それなりに仲は良くとも、「それなり」を超えることはなかった。
 同じ結界の力を持った者同士、幻想郷にいながらも境界上に住む者同士。
 感じるところはあったのかもしれない。
 彼女の式も含めて、随分と打ち解けた。
 もしも、私が彼女の家族であったならと思うほどに。
 
 
 
 
 
 
 そして、その日も私は彼女の家に行った。
 しかし、呼べど待てども誰も返事をしない。
 気配はあるのに。
 私は、いつものとおりに紫の家に上がりこんだ。
 もしも居ないなら、茶でも飲んで待とう。
 寝てるならば、叩き起こそう。
 その程度の考えだった。
 気配を辿れば、行き着いたのは紫の部屋だった。
 やはり、寝ているのか?
 私は、勢いよく襖を開いた。
 
「紫、いる……」

 部屋の真ん中に、ぽつりと細長いものが一つ。
 その周りの畳に、赤い染みが広く。
 
「あら、霊夢」

 紫は、こともなげに言った。
 その顔は、焦るでもなく戸惑うでもない。
 いつも通り、上品に気取った微笑み。
 口の端にわずかについた紅さえなければ、何かの間違いと思えたのかもしれない。
 
「ごめんなさいね、食事中だったのよ」
「……どこから?」
「里からよ」
「……そう」
「ええ」
「じゃあ、私は出直すわ」
「あら、気を使わせたかしら」
「別に」
 
 私はそれだけ言って、紫の家を後にした。
 
 
 知っていたはずだ。
 紫は、人を食べる妖怪であったことを。
 今更も今更。
 私も、それを知らないわけがないのに。
 なぜ、これほどまでにショックを受けたのかわからなかった。
 ただわかったことは、やはり彼女は妖怪であって。
 私は人間でしかなかった。
 横に並ぶことは無く、向かい合う関係。
 里から依頼があれば、私は彼女を退治するだろう。
 賢者であっても、それは変わらない。
 変わらない。
 わかっていても、私は気付きたくなかった。
 彼女と私が、その実全く違う立場ということがどうしようもなく悲しかった。
 全てが、まやかしだったような。
 幻に包まれたような気持ちが、私の心を支配した。
 


 私の、はじめての絶交。

2011.02.23 | | Comments(0) | Trackback(0) | SS

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