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文トレ

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いしますもう1月おわっちゃうじゃないですかぁー!

こよいです。
今日はラグナロクチャットで時々行われている文トレに参加した際の作品を公開。
メインテーマは料理。
それに指定されたキャラを二つ使うというものです。
私のテーマはさとりと勇儀

タイトルは「悲鳴」です。
どうぞ。










 最近、食卓がさびしい古明地家です。
 とは言っても、食材が無くなったとか家計がうちの猫みたいだとかそういった話ではありません。
 家族構成が私・放蕩癖の妹・ペットというもの。
 最近はペットも外に出るようになって、めっきり一人で食卓につくことが増えました。
 まぁ、たまには帰ってくるのでいいんですけどね。
 ほかの子もいますし。
 地底に移住して早……はや……? 千年くらい。
 灼熱地獄が廃されてから、この広い屋敷の小さい食卓もどんどん広くなってしまった。
 いいんです、みんな元気ですから。
 お姉さんは寂しいですけどね。
 
 さて、旧い妖怪と一緒に地底に移り住んで一つ良かったことがあります。
 現在の地霊殿では、結構野菜中心の生活だったりします。
 旧都で鬼が販売している肉もたまにはありますが、大体は野菜です。
 私の好みとかもありますけど、これはこれで助かっています。
 ここまでの話でおおよそわかったことと思いますが、炊事洗濯なんかはほぼ私がやっています。
 料理もまたしかり。
 そして、私古明地さとりは覚の妖怪。
 野菜であれば、切ろうが焼こうが煮ようが何も聞こえてはきません。
 ざっくざくですよざっくざく。
 肉食系のペットには肉ですけど、ほかの子は凡そそれで慣らしてしてしまいました。
 自分の都合と言われればそれまでですけれど、体にいいんですよ野菜。
 春菊とかすごく好みです。
 今夜も一人の食卓ですが、いいお豆腐が手に入ったので蒸し野菜と冷奴で私の胃袋に入ったいただこうと思います。
 味付けはポン酢とあさつき。
 安心と信頼の美味しさです。
 ふふふ、怖いですか? 怖いですか?
 さぁ、観念してこの煮えたぎったお湯に入るのです……!
 
「あー、うん。お楽しみのところ悪いんだけれど、お邪魔するよ」

 振り返る。
 そこに居たのは、旧都の鬼をまとめる星熊の勇儀さん。
 何か荷物を持って、台所の入り口に立っています。
 色々と、私の脳裏に言いたいことが浮かびます。
 無断で入ってきたこととか、持っているものは何かとか。
 しかし、今最も聞きたいこと。
 それは。
 
「……どこから見ていました?」
「……」

 ええと……ふふふ、怖いですか……からですか。
 私は、自分の首に包丁を―――
 
「ちょちょちょ、落ち着きなって」
「恥ずかしいじゃないですかぁ! 最初に声かけてくださいよぉ!」

 顔から火が出そう。
 むしろ出る。
 せめてもの抵抗として自害しようと思ったのに、私の全力は星熊さんの片手に適わない。
 ああ、なんと無力なことでしょう。
 私は、自分の尊厳を守ることすらできない……。
 
「何を泣いてるのか知らないけれど、私のつまみを作ってから泣いてもらえるかな」
「いつ、私が、あなたの専属料理人になったのでしょうか? 記憶にはないんですけれど」
「うん、まぁ。いいから作ってくれ」
「やです」
「いい食材が手に入ったんだよ。ともかく、話は見てからってことで」

 相変わらず、話を聞かない鬼ですね。
 どうやら、袋の中身が件の食材のようです。
 悪意がまったく無いあたり始末に負えません。
 すこし大きい包みですが、牛の肉でも手に入ったのでしょうか?
 
「うちに持ってこなくとも、貴方が持ち込めば酒屋でも作ってくれるでしょうに」
「権力をかさにそういうことするのは、よくないと思うんだ」
「腕力は?」
「鬼の誇り」

 ふざけるなと言いたい。
 どうせ、聞かないでしょうけど。
 星熊さんは、満面の笑みでそれを取り出した。
 丸々と太ったシルエット。
 綺麗な体に整った鰭。
 そう、それはまごうことなき魚の形。
 
「いい鱒が手に入ったんだ。手間かけさせるのもアレだし、塩焼きにでもしておくれよ」
「……生きてますよね、これ」
「まぁ、まな板の上で跳ねてるからね」
「……活きがいいですね」

 すごくいい笑顔の星熊さんですが、私には活きとかそんなものはどうでもいい。
 できれば、活きが悪いほうが良かった。
 星熊さんにはわからないだろうけど、私にはこの場こそが地獄であった。
 包丁を構えたまま固まる私を見て、声をかける鬼。
 
「ん? どうしたんだい?」
「……」

 もはや、星熊さんの声など耳に入らない。
 何故ならば、私にはこんな声が聞こえていたのだ。
 
(助けて! 痛い! 殺される! 殺されちゃう! 息ができない! あああああああああああああたすけてえええええええええええ)
 
 魚の悲鳴、とか。
 よほど活きがいいのでしょう、声に張りがあります。
 私が生ものを好まないのは、これが理由なのです。
 殺すこと自体、私にとっては苦痛。
 家畜とか本当に無理。
 息を呑み、ためしに包丁を……。
 チクッ
 
(ぎゃああああああああああああああああああ!)

 私の頭の中に、絶叫が乱反射。
 その言葉を聴いて、私の意識とかそういったものが彼方へ飛んでいったのを感じた。
 未だに続く命の叫びの中、私はゆっくりと振り返る。
 
「……ほしぐまさん」
「……顔が青いよ?」
「おとうふ、取っておいてくださいね」

 私は、自分の意識を手放した。
 きっと、星熊さんは私を簡単に介抱した後でおつまみを勝手にもって行くのだろう。
 とにかく、豆腐だけは死守したかった。
 星熊さんの驚く顔と、魚の絶叫。
 それが、本日の地霊殿の台所でした。
 できれば、寂しくとも静かで平和な食卓を。
 私はそう願って、目を閉じた。

2011.01.25 | | Comments(0) | Trackback(0) | SS

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