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土用で丑がうなぎ。

4日ほど遅れて土用SS
業者手配と月末締めでこよいさんグロッキーです。


余談
こよいさんうなぎ苦手。





 土用の丑とは、五行説を各季節に当てはめたところから始まる話よ。
 木を春、火を夏、金を秋、冬を水としたところ、土を当てはめるには季節が足らなかったのね。
 歴史を見ても、「五季」なんて言うのはジパングくらいのものよ。
 ま、それはいいとして。
 余った土は、万物の育成っていう性質から季節の変わり目の三週間弱に当てられたわ。
 これが所謂土用ね。
 最近じゃ夏ばっかり話題に上がるけど、本当は全ての季節に存在するわ。
 でなければ、五行思想に則ったことにならないもの。
 あとは、丑だけど。
 これは単純に、土用の間の暦っていうだけ。
 別に、子でも寅でもいいと思うんだけど。
 ともかく、季節の変わり目には体調崩しがちだから精をつけようってことらしいわ。
 蜆、卵なんかが効果的だったみたいね。
 なんで鰻になったかは……そうね、陰謀とでも言いましょうか。
 平賀っていうお偉いさんが、売れ行きの相談をされて宣伝したみたいね。
 そんなこんなで、夏の土用の丑には鰻が定番となったとさ。
 めでたしめでたし。
 





「と、いうわけよ」
「なるほど、さっぱりわからん」
「いい匂いですね」
「何よ、里の知識人名乗っておきながら何がわからんというの」
「知識の話ならよくわかるさ。私が言ってるのは、呼び出した理由だ」
「蓋取っていいですか?」
「……」
「……」
「沈黙は肯定と見なします。しからば!」
「待ちなさい」
「待て」
「何ですか、冷めたら美味しくなくなっちゃいます」
「大丈夫よ、メイドの特別製だから開けるまで保つわ」

 小さな円卓に座るのは、三人。
 一人は、パチュリー・ノーレッジ。
 紅魔館の魔女にして、図書館の奥で紅を飲み続ける知識人。
 一人は、上白沢慧音。
 人間に肩入れする、神の獣との半獣にして歴史の知識人。
 一人は、永江衣玖。
 竜宮の遣いにして、崩壊の危機を告げる不吉な使者。
 共通点は、一見して何もない。
 生活圏も、生業とする分野も、拠り所とする勢力も。
 彼女を集めたのは、パチュリーである。
 親友のメイドを使い、日時を指定した。
 ただ、それだけで一つの誘い文句もなかった。
 何とも雑な方法である。
 それで集まる面子も、面子であった。
 類は友を呼ぶ。
 
「で、今日が土用ってことはこれはアレなんだろ?」
「ええ、想像通りのものよ」
「開けますよー」
「開かないわよ」
「ヌグッ……よっ……」
「ふむ、時間を止めてるのか」
「そういうこと、話が終わるまでは取れないように調整してもらってるわ」
「なら早く話を終わらせてください時間が止まってるのに匂いだけ流れるってどういうことですか早くはやくはやくー」
「……竜宮ってこういうのか?」
「さぁ? でも、天人はもっと破天荒よ」
「……」

 卓上には、小さな箱が三つ。
 各自の前に、ちょこんと置かれていた。
 土用の食べ物と言えば、パチュリーが自ら解説したアレしかない。
 衣玖が息を荒らげている。
 まるで、お預けを喰らった動物だ。
 そのとおりである。
 
「で、本当の狙いは?」
「食事会」
「もっと何かあるんじゃないのか?」
「んにゃ、特に無いわ」
「……?」
「貴女は、もうちょっと他人を信用することを覚えるべきね」

 パチュリーは、訝しむ慧音をよそに紅茶を一口。
 外見からはわからないが、パチュリーのほうが一回りも二回りも年上なのだ。
 さらに竜宮の使いの中でも高位であるはずの一人は、待ち遠しすぎて壊れ始めた。
 図書館は静かであるべきだが、この図書館においてそのルールはあまり守られない。
 主に金色のネズミであったり、親友の吸血鬼とその妹であったり。
 
「せっかく交友関係広げようとしても、むっちゃ警戒されてるものね」
「あ、そういうことだったのか」
「竹林のは、どうも友人にするには物騒だから里を狙ってみたのよ」
「なら、里に遊びに来ればいいじゃないか」
「私の体力が、里まで保つと思ったら大間違いよ」

 力強く言い切ったが、決め台詞でもなんでもなかった。
 単なる体力不足の運動不足。
 ついでに、探究心はあっても現場までは赴かない。
 それが、パチュリー・ノーレッジなのだ。
 
「そんな申し出ならば、私はありがたく受けよう」
「そう、これからよろしく」
「ああ、よろしく。ところで、竜宮の遣いとは繋がりが?」
「例の天候異常の時にね」
「いただきます」
「さすがに、箱ごとは噛めないと思うわ」
「わからんぞ。執念は時々、常識を超えた力を生むからな」
「がじがじ」
「……そろそろ、お預けも可哀想だしいただきましょうか」
「ああ、そうしようか」

 パチュリーが指を鳴らすと、箱の蓋はするりと開いた。
 中には、純白に炊かれた米に乗った鰻の蒲焼。
 香ばしく焼けた身から立ち上る匂いが、なんとも食欲をそそる。
 気力体力が減衰していようと、これを食べれば漲ると昔から言われている。
 そう、鰻重である。
 なぜこれが、売れ行きを伸ばせなかったのか不思議な話だ。
 
「あのヌルっとしたのを食べようとした、先人に感謝しようと思うわ」
「同感だ」
「ごちそうさまでした。先人の知恵は偉大ですね」
「はやっ」
「ちゃんと噛んで食べたのか?」
「ご心配なく、行儀作法は完璧です」

 自信満々に宣言。
 まさに雷光。
 いつもはおっとりふよふよとした動きなのに、今日は目にも留まらぬスピードであった。
 あれほど飢えた様相であったのに、子どものようにがっついた様子は無かった。
 宣言に間違いは無いのだろう。
 だからどうした、という話でもある。
 
「ところで、どうしてこの面子なんだ?」
「どうして? 見ればわかるでしょ?」
「私とお前はともかく、竜宮のは違うだろ?」
「いいえ、今日に限って接点はある」
「今日に限り……?」

 パチュリーは、まず自分を指差す。

「土用が呼んだ」

 それから、慧音を指差し、
 
「丑で」
 
 未だ悦に入る衣玖へと指を滑らせた。
 
「鰻」

 場が沈黙する。
 パチュリーは指を下ろし、食事のために脇によけていた本を持つ。

「……」
「ジョークよ、ジョーク。本気十割ジョーク」
「……」
「土用が丑で鰻。んー語呂がいいわね」
「私、たぶん仲良くするのは難しいと思うんだ」
「記念に交換日記なぞ」
「古い!」
「おかわりはありますか?」
「無いよ!」
「あるわ」
「あるのか!」
「はい、あなたからスタート」
「なんでやねん……」

 交換日記を手に、慧音は突っ伏した。
 当然ながら、中身は真っ白のままである。
 三人の友情は始まったばかり。
 しかし、慧音は早くもいやな予感を覚える。
 かみ合わない彼女らは、この先結束を強めることができるのだろうか……。
 
「無理だ……」

 がんばれ慧音。
 主に君一人の戦いは始まったばかりだ!
 
 
 
 
「慧音さんが突っ伏してますけど、どうしたのですか?」
「んー、疲れてるんじゃないの?」
「じゃあ毛布でも取ってきますか」
「私は咲夜に言って、お茶のお代わりでも持ってきてもらいましょう」


 割とうまく行きそうでもあったようだ。

2010.07.30 | | Comments(0) | Trackback(0) | SS

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