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損耗系さとり式

手なりで一本。
ちょっと創想話には出せないかなーと思ったので、こっちにアップしておきます。
こいしの自覚って、どこまでなんでしょうね。




 ある日、私こと古明治地こいしは信じられない光景を見た。
 私のペットと遊んだ後、今度はお姉ちゃんで遊ぼうと思った。
 ノックもなしに、扉を開けたらお姉ちゃんが逆さだった。
 心が読めない私は、残り二つの眼までおかしくなったかと思った。
 何度見ても、お姉ちゃんは逆さだった。

「お姉ちゃん、何してるの?」
「見てわからない? 運動よ」
「それは、見ればわかるけどさ。なんで?」
「運動不足だから」
「なるほど、でもそこから始めるの?」
「ええ、これが一番らしいわ」
「誰から聞いた?」
「お燐」
「変なこと吹き込まれたね?」
「そんなことないわ。微塵も考えてなかったから」
「へー」
「最終的には、月に舞うらしいわよ」
「ふうん。私、また出かけてくるから」
「行ってらっしゃい。暗くならないうちに、帰るのよ?」
「はぁい」

 妖怪なのに、夜道の心配とはこれ如何に。
 お姉ちゃん、いくらなんでも逆立ちから始めるのは無謀だと思うの。
 あと、逆立ちするときはスカートはノーグッド。
 下着丸出しです。
 妹さんは、こんなはしたないお姉ちゃん見たくありません。
 早急に改善したいところだけど、面白いからこのままにしておく。
 
 
 +++
 
 
 さて、お燐は誰から聞いたんだろ。
 全く、お姉ちゃんは外猫になったら帰ってこないっていう話を知らないのかしら。
 怨霊の管理だって、未熟な火車じゃおっつかないのに。
 これは、私がしっかりしなくちゃだめね。
 放浪のついでに。
 
 
「で、此処に来たわけね」
「そういうこと」
「猫なら炬燵の中よ」
「ああ、ミイラ作ってるのね」
「何それ」
「即身仏」
「猫出ろーさっさと出ろー」
 
 蹴り出されるお燐。
 見た目的に、行き倒れ。
 せめて猫であれば、こんな哀れな姿ではなかったであろうに。
 しかも、まだ熟睡してるし。
 耳の穴に、耳掻きのほさほさしたところを突っ込んでみる。
 
「ふああぁぁああん」
「うわっきもっ」
「マタタビもあれば、もっとやらしいよ」
「ペットで遊んじゃだめよ」
「はぁい」
 
 赤巫女は、なんかお姉ちゃんに似ている。
 お姉ちゃんの性格を、もっときつくすると多分こうなる。
 
「失礼なこと考えてない?」
「別に?」

 時々、覚かっていうくらいに当ててくるし。
 勘がいいって聞いたから私に近いのかな?
 あ、お燐起こさなきゃ。
 
「にゃーん」
「都合のいいときだけ猫になるな」
「てへ」
「お姉ちゃんに、何吹き込んだの?」
「こいし様、あたいは嘘はついていませんよ? さとり様の運動不足を解消したかっただけです」
「そういうのはいいから」
「えっと……」


++++


 あたいは、あの日賢者に連れられて紅い屋敷に言ったんです。
 大層頭がいい魔女がいるって聞いて、さとり様の助けになればと。
 で、私の顔を見るなりこう言ったんですよ。
 
「ああ、火車ね。探すのに時間がかかったから、覚えているわ」

 魔女は、さとり様にすっごく似てた。
 色といい、不健康そうな顔色といい、口調まで。
 あたいは、思ったね。
 駄目だこりゃって。
 
「黒い猫に地獄と炎はなし。まだ、石に躓くくらいかしら」

 言ってること、よくわかんないし。
 でもね、駄目元で聞いてみたんだ。
 せっかく、来たんだし。
 
「運動不足……ああ、覚ね。見るからに、フラフラしてたもの」

 お姉さんが言うのかい。
 ずっと椅子に座って、本読んでるだけじゃないか
 
「私は、喘息持ちだからいいのよ」

 よくわからん。
 どうやら、表にいた門番のほうがいいかもしれない。
 本を手繰る魔女に、あたいが嫌気がさし始めたころに突然。
 
「ああ、これならどうかしら」

 とかいって、薄い本を渡されたんだよ。
 あたいにゃよくわからんし、読むつもりも無かったんだけど。
 
「それなら、初歩から載ってるわ」

 せっかくの親切を無駄にしたら、さとり様に叱られるしね。
 んでさ、感謝の言葉の一つでもお礼にと思ったらさ。
 
「やっぱり猫はいいわね……人間じゃなくて、一匹くらい飼おうかしら」

 うっとりした顔でこっちを見るもんだから、さっさと逃げ帰ってきたってわけ。
 
 
+++


「と、いうわけです」
「それが本当だとして」
「うん、本当だとして」
「「すっごく胡散臭い」」
「あたいを信じて!」

 お燐じゃなくて、その魔女が胡散臭いんだけど。
 そして、何気に巫女と息があった。
 もっと、仲良くなれそうなきがする。
 キュンキュンくるね!
 
「やめい」
「ひどい」

 ともあれ、お姉ちゃんが吹き込まれたものを見よう。
 薄っぺらい本には、一箇所付箋がある。
 多分、これがお勧めなんだろうね。
 他のページには、確かに筋肉のほぐし方とか効率がいい運動法が載ってる。
 ペラっと、付箋のページをめくる。
 
「なにこれ」
「なにかしら」
「かっこいいと思いませんか?!」

 私の残り二つの眼が確かならば、どうやってもお姉ちゃんにできるもんじゃない。
 宙返り中に半分ひねって、もう一回宙返りしながら半分ひねる?
 しかも、地霊殿に鉄棒ないじゃん!
 ぼろぼろで、なんていう名前かが若干わからないし。
 えーっと。
 むーんさると?
 
「月塩?」
「月の海は、あまり味しなかったわよ」
「へぇ。私も飲みたい」
「また今度ね。それより、さとりができるようになるまで私生きてるかしら」
「無理かも」

 死体のオブジェだったら、沢山あるのになぁ。
 霊夢も、お姉ちゃんの完成を待ちながらエントランスに並べばいいのに。

 
「こいし様、これ簡単じゃないですか?」
「猫だから、当たり前じゃん。出来ないほうがおかしいよ」
「にゃーん」
 
 しょげてしまった。
 そりゃ、猫だったら出来る。
 私だって、ちょっと工夫すれば簡単にできる。
 でも、どうやったら逆立ちなんて発想に行き着くんだろう。
 お姉ちゃんが、工夫に気づかないわけないと思うんだけど。
 お燐が、教えたのかな。

「教えてないですよ? どうせなら、こういう技を目標にしましょうってだけで」
「あれ? 逆立ちは?」
「知りませんよ」

 じゃあ、お姉ちゃん独自の発想?
 お姉ちゃんの中じゃ、体操=逆立ちなのかな。
 下着まるだしで逆立ちなんて、お姉ちゃんの趣味じゃないと思ったのに。
 説明を見る限り、月面は重力が六分の一だからこんな離れ業もできるだろう。
 というイメージらしい。
 なんのこっちゃ。
 外の世界は、小難しいこと考えてるんだね。

「こいし、あんた様子見に行ったほうがいいんじゃない? 変な方向にエスカレートしちゃわよ。たぶん」
「うん、そうしてみる。赤い巫女は優しいんだね」
「ばっか、そんなわけないじゃない。妖怪逆立ち覚を誕生させないためよ」
「ふーん。ばいばーい」

 メモ、地上の巫女は素直じゃない。
 お燐は、再びミイラを目指して炬燵に飛び込んだ。
 どうせ、巫女に蹴り出されて終わりなのにね。
 この本にも、基礎は載ってたのになんであんな暴挙に出たのお姉ちゃん。
 もしかして、おっきな悩み?
 どうして、私に行ってくれなかったの!
 ごめんなさいこいし! お姉ちゃんが間違ってた!
 お姉ちゃん! こいし!
 がっしりと抱き合う二人。
 などと、妄想を膨らませつつ地霊殿に戻る私なのです。


+++


「ただいまー……?!」

 地霊殿のエントランスに、肢体が一つ増えていた。
 ここまで歩いて、力つきたといった様子。
 お姉ちゃんである。

「お姉ちゃん! どうしたの!」

 ただ事ではない。
 とりあえず、それだけはわかった。
 病気か、襲撃か。
 原因は、わかっているんだけど。
 
「ああ……こいし……」

 いつも以上に、か細い声。
 お姉ちゃんが体力を極限まで磨耗していることは、誰の目にも明らか。
 
「ちょっとはりきっちゃってね……腕とか腰とか足とか頭が痛いの……」
「お姉ちゃん…………」
「ごめんね……せっかくこいしが居るのに、ご飯作れないわ……」

 涙を浮かべながら、お姉ちゃんは謝った。
 確かに、ご飯が食べられないのは残念。
 
「後で、マッサージしてあげるから」
「ありがとう。こいしに、月面なんとかをするところを見せたかったわ……」
「いいよお姉ちゃん、そんな無理しなくっても」
「こいし……」
「お姉ちゃん……」

 私は、ここで茶番に耐え切れなくなった。
 
「だって、飛べばできるじゃん」
「……」
「……」
「…………」
「……お姉ちゃん、少しだけ眠るわ。おやすみ、こいし」
 ガクリ。

「おねえちゃーん!」
 
 私の白々しい叫びが、地霊殿に響いた。
 眼から、目薬が溢れる。
 私は、お姉ちゃんの犠牲を無駄にしない。
 幻想郷の運動不足妖怪たちに、このことを伝えて回るんだ。
 もう二度と、同じ苦しみを生まないためにも!
 
 
 
 教訓:無理な運動は、体に大きな負担をかけます。
    自分のペースで、運動不足を解消していきましょう。
    
                  古明地こいし

2010.02.28 | | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

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